経腸栄養剤の形態は缶・パック・粉末など多岐にわたりますが、近年注目されているのが RTH製剤(Ready To Hang製剤) です。
無菌性や業務効率の面で優れ、病院や在宅医療の現場で導入が進んでいます。ここでは、RTH製剤の特徴・利点・欠点・使用シーンを整理します。
RTH製剤の特徴
- バッグ型でそのまま投与可能
→ イルリガートルへの移し替え不要。 - 閉鎖系(closed system)で使用可能
→ 無菌性が保たれやすい。 - 24時間投与に対応
→ 細菌増殖リスクを抑制できる。 - 準備・管理が簡便
→ 看護業務や介護者の負担軽減につながる。
利点
- 感染リスク低減
従来の缶・パック製剤と異なり、移し替え操作が不要なため細菌汚染のリスクが大幅に低下します。 - 作業効率の向上
開封後すぐに接続可能で、器具の洗浄も不要。限られた人員での業務効率改善に寄与します。 - 長時間投与が可能
無菌性が担保されやすく、24時間持続投与でも安全性が高いとされています。 - 在宅・施設での管理が容易
衛生的で扱いやすく、介護者の清潔操作も簡便。
欠点
- コスト高
缶やパック製剤に比べてコストが上がりやすい。 - 濃度・容量調整が困難
基本的に規定濃度で使用する必要があり、希釈時は通常製剤と同じ衛生管理が求められる。 - 使用期限が短い
原則24時間以内に使い切る必要がある。 - 管路との適合性に注意
粘度の高い製剤では、細いチューブで閉塞のリスクあり。
使用シーンの違い
RTH製剤が適する場面
- 長時間(24時間)持続投与
- 感染管理を徹底したいケース(ICU・病棟・在宅)
- 看護業務の省力化を求める場面
缶・パック・粉末製剤が適する場面
- 短期投与や間欠投与
- 栄養量や濃度の個別調整が必要なケース
- コストを重視する場合
- 経口補助やシリンジ投与を行う場合
まとめ
RTH製剤は
- 感染予防・業務効率・長時間投与に優れる
一方で、 - コストや調整の自由度には制限がある
という特徴があります。
現場では在庫や購買方針に左右されることもありますが、感染管理や看護業務の効率化といった観点から、今後ますます導入の意義が高まる製剤といえます。