経腸栄養剤のRTH製剤とは?特徴・利点・欠点・使用シーンを整理

NST

経腸栄養剤の形態は缶・パック・粉末など多岐にわたりますが、近年注目されているのが RTH製剤(Ready To Hang製剤) です。
無菌性や業務効率の面で優れ、病院や在宅医療の現場で導入が進んでいます。ここでは、RTH製剤の特徴・利点・欠点・使用シーンを整理します。


RTH製剤の特徴

  • バッグ型でそのまま投与可能
     → イルリガートルへの移し替え不要。
  • 閉鎖系(closed system)で使用可能
     → 無菌性が保たれやすい。
  • 24時間投与に対応
     → 細菌増殖リスクを抑制できる。
  • 準備・管理が簡便
     → 看護業務や介護者の負担軽減につながる。

利点

  1. 感染リスク低減
    従来の缶・パック製剤と異なり、移し替え操作が不要なため細菌汚染のリスクが大幅に低下します。
  2. 作業効率の向上
    開封後すぐに接続可能で、器具の洗浄も不要。限られた人員での業務効率改善に寄与します。
  3. 長時間投与が可能
    無菌性が担保されやすく、24時間持続投与でも安全性が高いとされています。
  4. 在宅・施設での管理が容易
    衛生的で扱いやすく、介護者の清潔操作も簡便。

欠点

  1. コスト高
    缶やパック製剤に比べてコストが上がりやすい。
  2. 濃度・容量調整が困難
    基本的に規定濃度で使用する必要があり、希釈時は通常製剤と同じ衛生管理が求められる。
  3. 使用期限が短い
    原則24時間以内に使い切る必要がある。
  4. 管路との適合性に注意
    粘度の高い製剤では、細いチューブで閉塞のリスクあり。

使用シーンの違い

RTH製剤が適する場面

  • 長時間(24時間)持続投与
  • 感染管理を徹底したいケース(ICU・病棟・在宅)
  • 看護業務の省力化を求める場面

缶・パック・粉末製剤が適する場面

  • 短期投与や間欠投与
  • 栄養量や濃度の個別調整が必要なケース
  • コストを重視する場合
  • 経口補助やシリンジ投与を行う場合

まとめ

RTH製剤は

  • 感染予防・業務効率・長時間投与に優れる
    一方で、
  • コストや調整の自由度には制限がある

という特徴があります。

現場では在庫や購買方針に左右されることもありますが、感染管理や看護業務の効率化といった観点から、今後ますます導入の意義が高まる製剤といえます。

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