- アルブミンがGLIM基準に含まれない医学的な理由
- アルブミン値が低いのに栄養状態が良い・その逆のよくある例
- GLIM基準とアルブミンそれぞれの正しい使い分け方
栄養評価の国際基準であるGLIM基準(Global Leadership Initiative on Malnutrition)には、血清アルブミン値が含まれていません。
「低アルブミン=低栄養」というイメージを持っていた人にとっては意外かもしれません。では、なぜ外されたのでしょうか。
アルブミンは“栄養指標”ではない
これまでアルブミンは「栄養状態を映す数値」として使われてきました。
しかし、近年の研究ではアルブミン値は体内のたんぱく質量や筋肉量、栄養状態とは強く結びついていないことが示されています。
つまり「アルブミンが低い=栄養不良」とは言えないのです。
炎症・疾患の影響を強く受ける
アルブミン値は、感染症や手術後などの炎症状態、あるいは肝機能・腎機能といった臓器の状態に大きく左右されます。
このため、**栄養というより“炎症や疾患のマーカー”**としての意味合いが強いと考えられるようになりました。
ASPEN(米国静脈経腸栄養学会)などの国際的な基準でも、「アルブミンは栄養指標ではなく炎症指標である」と明確に述べられています。
アルブミン低値のよくある誤解:臨床での具体例
アルブミン値だけを見て栄養状態を判断すると、誤った評価につながることがあります。薬剤師や栄養士として知っておきたい典型的な3つのパターンを紹介します。
例①:炎症でアルブミンが低下しているケース
肺炎や術後の患者さんでは、炎症性サイトカイン(IL-6など)の影響でアルブミン合成が抑制されます。食事はしっかり摂れていてもアルブミンが2台に低下することがあり、「低栄養」と誤診されやすい状況です。この場合、体重・筋肉量・食事摂取量を合わせて評価するGLIM基準が有効です。
例②:ネフローゼ症候群でのアルブミン低下
ネフローゼ症候群では、尿中へのアルブミン漏出によって血清値が低下します。栄養摂取量は正常でもアルブミンは著しく低値になるため、これを「低栄養」と評価すると不適切な栄養介入につながります。
例③:脱水によるアルブミン見かけ上の上昇
逆に、脱水状態では血液が濃縮されるためアルブミン値が高めに出ることがあります。実際には食事摂取量が低下していても正常値に見えるため、アルブミンだけを根拠にすると見落としのリスクがあります。
GLIM基準が重視する評価
GLIM基準では、実際に患者の身体に起きている変化を見て診断します。
- 体重減少の有無
- 食事摂取量の低下
- 筋肉量の減少
- 皮下脂肪の減少
- 握力の低下
さらに、MUSTやMNA®-SFなど科学的に妥当性が認められたスクリーニングツールの利用が推奨されています。
これにより、血液検査を行わなくても、ベッドサイドで患者の状態を把握できる仕組みになっています。
アルブミンとGLIM基準の正しい使い分け
アルブミンは「使えない指標」ではありません。目的に応じた正しい使い方を理解することが大切です。
| 指標 | 何を見ているか | 適切な使用場面 |
|---|---|---|
| 血清アルブミン | 炎症の程度・予後・臓器機能 | 重症度評価、予後予測、炎症モニタリング |
| GLIM基準 | 体重変化・筋肉量・食事摂取量 | 低栄養の診断・重症度判定・栄養介入の根拠 |
たとえば「アルブミン低値で予後不良のリスクが高い患者」を発見したうえで、GLIMで低栄養を診断し栄養介入の根拠にする、という組み合わせが理想的な活用法です。
まとめ
アルブミンは予後や炎症を示す重要な数値ですが、栄養不良の診断に用いるべきではないというのが国際的な共通認識です。
GLIM基準は「身体的・機能的な変化」を診ることに重きを置き、より臨床的に役立つ診断を目指しています。
若手医療職にとって大切なのは、「アルブミン低値=低栄養」と短絡的に結びつけないこと。
患者さんの全体像を評価する力が求められています。
参考:日本栄養治療学会-GLIM基準

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