非蛋白熱量(NPC)とは
非蛋白熱量(NPC: Non-Protein Calorie)とは、タンパク質を除いたエネルギー供給量を指し、主に糖質と脂質由来のカロリーを意味します。
- タンパク質:臓器や筋肉の構成、創傷治癒、免疫能維持
- 糖質・脂質:エネルギー供給(燃料)
NPCを把握することで、輸液や栄養療法が「エネルギー供給」主体か「タンパク補給」主体かを見極めることができます。
NPC/N比の意義
NPCを「窒素量(N)」で割ったものが NPC/N比 です。
この値は エネルギー供給と窒素(タンパク質)投与のバランスを示す指標として臨床的に重要です。
代表的な目安
- 150〜200:標準的な高カロリー輸液
- 200以上:腎機能障害用(低タンパク設計)
- 100〜150:熱傷・敗血症など高ストレス状態(高タンパク投与が必要)
→ 比を確認するだけで、その輸液がどの病態を想定しているかを推測可能です。
臨床での活用ポイント
- 輸液の性格判別
→ 製剤名を知らなくてもNPC/N比から「通常・腎不全・高ストレス対応」のおおよその区分が可能。 - 過剰投与リスクの評価
- 糖質過剰:高血糖・脂肪肝・呼吸商上昇による呼吸不全
- 脂質過剰:高トリグリセリド血症、肝機能障害 - 不足リスクの評価
NPCが低すぎるとエネルギー不足により筋蛋白分解が進み、カタボリックに傾きやすい。
まとめ
- 非蛋白熱量(NPC)=糖質+脂質由来のエネルギー
- NPC/N比=エネルギーと窒素のバランスを示す指標
- 数値を把握することで、輸液の適応・病態別設計・過不足リスクの評価が可能
臨床現場で輸液名を見た際、成分表とNPC/N比を確認する習慣をつけると「この製剤がどういう意図で処方されているのか」が見えやすくなります。